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川端康成 新資料による探究

川端康成 新資料による探求
著者 深澤晴美 
本体価格 6,000円+税
ページ数/判型 434/ A5判上製
ISBN/分類コード 978-4-907282-85-1 C3095
発行日 2022年10月20日
本の紹介

川端康成没後50年

『川端康成詳細年譜』を編んだ筆者が、これまで発掘してきた数多くの新資料を踏まえて展開する新たな川端康成論

第Ⅰ部 新発掘初期作品の研究
第Ⅱ部 雑誌掲載発掘文等による考察
第Ⅲ部 新発掘資料編

目次内容

はじめに
第Ⅰ部 新発掘初期作品の研究
第一章 未発表小説「星を盗んだ父」
─モルナールの戯曲「リリオム 或るならず者の生と死(裏町の伝説)」翻案の試み─

一、執筆時期の推定
1、用いられている原稿用紙について
2、原作者名「フエレンク・モルナー」の表記について
3、「飜訳全盛時代」とその急速な失速

二、執筆の背景
1、「リリオム」の原型─森鷗外「破落戸の昇天」と学生時代の川端康成
2、川端岩次郎宛書簡(大正九年一一月二五日附)が提示する問題
【演劇との関わり─松竹合名会社と帝大劇研究会】
【第六次「新思潮」の継承─菊池寛との関係】
3、商業誌への執筆─水守亀之助・加藤武雄・佐佐木茂索との関係
4、大正一〇年四月、「MERRY-GO-ROUND」の腹案
5、鈴木善太郎訳『白鳥』(大正一三年六月)刊行前後─金星堂との関わり
6、二冊の幻の著、川端康成訳ジヨン・パリス『さようなら』と川端康成『驢馬に乗る妻』

三、その特質─恋愛ドラマから「肉親の深い神秘な愛情」を焦点とした小説への改変
1、戯曲「リリオム」の邦訳四種と小説「星を盗んだ父」の懸隔
2、「リリオム」を原作とする映画、ミュージカル「カルーセル」等の作品群と「星を盗んだ父」

四、川端文学の中で─今後の検討課題

第二章 新聞掲載の発掘作品─「妻競」「時代二つ」「名月の病」「父」─

一、新聞調査の困難性と意義
二、「妻競」─「鉢かづき」から「鏡破物語」、ブルーソフ「鏡」へ/新進作家川端の自負
三、「時代二つ」─境界としての首つりの松/境界を侵す子供達
四、「名月の病」─「山猫のやう」な少女と「猿のやう」な妻/名月への昇天
五、「ちよ物」系譜中での「父」─感傷的な〈私〉から〈彼〉への変貌
1、〈彼〉の誕生─「生命保険」「非常」から「父」へ
2、〈彼〉の誕生を促したもの─「ちよ物」と「孤児としての私の私小説」………
3、〈彼女〉の形象に向けて─「父」以後の〈彼〉

第Ⅱ部 雑誌掲載発掘文等による考察
第一章 投書家時代の川端康成 ─「文章世界」「文章倶楽部」「新潮」「文藝雑誌」発表一三作品─

第二章 時代との交点を探って─「婦人公論」「中央公論」における川端康成─
一、編集者藤田圭雄との繋がり
二、藤田就任以前─「抒情歌」まで
三、「牧歌」連載など─満洲事変の頃
四、「愛する人達」連載など─太平洋戦争勃発へ
五、終戦後─「日も月も」連載など
六、文芸映画の隆盛─「美しさと哀しみと」連載など
七、『日本の文学』編集、「女流文学賞」選考など
八、ノーベル文学賞受賞以降

第三章 戦前・戦中の少女小説─「少女倶楽部」から「少女の友」へ─
一、「少女倶楽部」時代(昭和七年~一一年)─「大人のための文学なんか、書くもいやらしい」
二、「少女の友」時代(昭和一二年~一八年)─「軍部にきらわれて」
1、創刊四五周年「記念のことば」─「みな戦争前のことである」
2、連載小説「乙女の港」─少女幻想共同体ということ
3、連載小説「花日記」─続くヒット作
4、連載小説「美しい旅」─「悉くの作に一貫してゐるもの」
5、戦争への傾斜の中で─「作文」選など

第四章 戦時下の一側面─「新女苑」における川端康成─
一、「少女の友」姉妹誌としての「新女苑」─「自己を創造せんとする若き婦人」のために
二、川端と「新女苑」(昭和一三年~一八年)
1、「小品欄」選と『女性文章』編纂─《女性的なるもの》と《日本》
2、小説執筆─「大牡丹」「旅への誘ひ」「朝雲」
3、「岡本かの子」に触れて─《東方の大きい母》を求めて

第五章 「ひまわり」に見る戦後の川端康成─《少女期の終焉》と少女小説の終焉─
一、巻頭文「美しい言葉」と懸賞少女小説選(昭和二二年)
二、「ひまわり・らいぶらり」誕生、川端責任編集「婦人文庫」復刊(昭和二二年~二六年)
三、少女小説の発表(昭和二四年~二七年)
1、短篇小説「椿」─養女だった妹
2、連載小説「歌劇学校」─束の間の《少女》の時/歌劇学校という場
3、連載小説「万葉姉妹」─「あなたとわたしはおなじよ」/「住吉」三部作から「古都」へ
4、連載小説「花と小鈴」─《永遠の少女》の形象とその背景

第六章 川端康成の女性文章・綴方選─喪われた《故郷》への憧憬/絶対の距離─
一、戦前・戦中の活動
1、「婦人公論」「新女苑」小品欄、『模範綴方全集』の選等─「純粋な肉声」を
2、「文学の病気」「文学の毒気」─「故郷を失った文学」が提起した問題
3、『女性文章』刊行と「英霊の遺文」─昭和『万葉集』の夢想
二、戦後の活動
1、「赤とんぼ」綴方、「婦人文庫」小品の選等─「なほ失はぬもの」を
2、「雪国」改稿に触れて─フェミニズム批判の彼方へ
3、「白鳥」廃刊後─自らの創作に向けて
4、「東方の歌」─幻の《日本》への回帰

第七章 川端康成と沖縄─幻の長篇「南海孤島」/米国統治下の沖縄行─
一、幻の長篇「南海孤島」─戦前の企て
二、昭和三三年、米国統治下の沖縄行
1、戦跡の巡拝、民芸の鑑賞
2、沖縄タイムス主催「川端を囲む座談会」、乙姫劇団
3、ハンセン病療養所愛楽園訪問と講演「逢い難くして……」
4、琉球新報主催「川端康成氏を囲んで 文学を語る座談会」
5、タイムス文化講座講演「国際ペン大会と外国作家」
三、沖縄行以後の川端と沖縄

第八章 川端康成における芭蕉/「雪国」の《天の河》再考
一、「不易流行」と故郷喪失─昭和初年代までの評論
二、「旅の小説」の試み─「牧歌」「旅への誘ひ」「東海道」/旅情から《旅愁》へ
三、捨子の「かなしみ」と旅人芭蕉─「故園」の〈私〉の叫び
四、「雪国」─《天の河》の加筆と改稿
五、「しぐれ」─《二人で一人、一人で二人》の願い
六、美との邂逅と創造─「ほろびぬ美」「美の存在と発見」他

第九章 川端康成最後の書簡─「不浄」ということ─

第Ⅲ部 新発掘資料編
第一章 内容見本類に見る川端康成 ─新発掘推薦文等六五篇・各篇概要と解題─
第二章 文学館・記念館所蔵書簡に見る川端康成 ─未翻刻書簡三三二通 解題と一覧─
一、書簡解題
二、書簡一覧

初出一覧
終わりに─「逢い難くして……」─
作品・人名索引


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